ドラマチックな色決めの話⓵
お施主様と住宅の打合せは多岐に渡りますが、多くの方が悩まれるポイントとして外壁の色があります。
ご夫婦で意見が分かれたり、途中で気が変わったり、この外壁の色選びにもさまざまなエピソードが隠れています。
今まさに建築中という方、またこれから新築を計画していこうと考えている方に、外壁の色の特徴や印象、メリットデメリットをお話していこうと思います。
1.白色・アイボリー系
印象としては、「清潔感」「シンプル」「明るい」「飽きが来にくい」
メリットは、熱を吸収しにくいため、夏場の室内温度の上昇を抑えやすい。周囲と調和しやすいなどが挙げられます。
デメリットは、汚れが目立ちやすい。特に雨だれなどに注意が必要です。解決策として、クリーム系やアイボリー系を選ぶと、汚れが目立ちにくく、家全体に温かみも出ます。
2.グレー(灰色)系
印象はひと言で言って「モダン」「落ち着いた」「洗練された」
メリットは、汚れが最も目立ちにくい。景観になじみやすい。また、流行に左右されにくいと言われています。
デメリットは、濃いグレーだと熱を吸収しやすい。薄いグレーだと白が汚れたように見えてしまうこと。中間色を選ぶと汚れも目立たず美観も維持されます。
3.ブラウン(茶色)系
印象は「ナチュラル」「落ち着いた」「温かい」「重厚感」
メリットは、汚れが目立ちにくい。周辺の建物と調和しやすい。それと虫がよりにくい傾向があるそうですが、これは確かなデーターはありません。
デメリットは、濃い茶色だと熱を吸収しやすくなることが挙げられます。
ブラウンは濃淡で印象がおおきく変わります。木目調などとの相性も良いです。
4.ブラック(黒)
印象は「高級感」「重厚感」「スタイリッシュ」
メリットは個性的で洗練された印象を与え、周囲と差別化できること
デメリットはやはり熱を吸収しやすいこと。あと、砂埃などの白い汚れが目立ちやすいなどです。
5.ブルー(青)系・グリーン(緑)系
印象は「さわやか」「おしゃれ」「個性的」
メリットは、個性が出しやすい。被りにくい。
デメリットは、周囲から浮いて見えてしまう可能性があること
ざっとこんな感じでしょうか。
こうした外壁の色決めには、お客様の「どんな家にしたいか」を、しっかりとヒアリングして、ベストなご提案を心がけています。
しかし、最終的にはお施主様の「好み」で決めていいのではないかと、私は思います。
さて、これから弊社で10年以上前に家を建てていただいたFさんとの間におきたある事件についてお話します。
Fさんは築10年を過ぎたマイホームの外壁の塗装を考えていらっしゃいました。
外壁の塗装には、おおきく分類すると2つのパターンがあります。
いまの家の外壁の色を活かし、より美しく見せる「クリア」タイプの塗装と、まったく違う色で家を塗って、違った印象の家にしようとする塗装です。
Fさんは後者をご希望でした。
私は色見本のカードとノートパソコンを持ち、Fさん宅で打合せに行きました。3D映像で仕上がりをシミュレーションして、ああでもないこうでもないと、いろんな色を試しました。
しかし、こだわりの強いFさんは、容易に決めてはくれません。
塗装の色見本は「日本塗料工業会」のもので640色以上もあります。この中からベストを選ぶのですから、Fさんでなくても迷うわけです。
何度かの打合せを経て、ようやく「決まった」とFさんから電話をもらった時は、正直ホッとしたのを覚えています。
その晩私はFさんの家に行き、色見本の中のFさんが選んだ色の番号を慎重に書き取り、早速発注するとお伝えしました。
塗装工事の日程も、すぐにお知らせしますと言った時、私は長引いた打合せがようやく終わることに安堵感と喜びを感じていたのです。
しかしこのときはまだ、これからとんでもないことになることを、私は夢にも思っていなかったのでした。
コメント
お客様に色のメリットのみではなく、デメリットをお伝えする事で決め手にも繋がる事が勉強になりました。お客様に対する真摯な対応が伝わってきます。
お話の続き、楽しみにしております。