屋根についての話⓵
住宅の「屋根」は家の印象を大きく左右し、機能面でも非常に重要な意味を持っています。
今回の「ちょっとためになる話」は、住宅の屋根について進めていこうと思います。
【一般的な住宅の屋根の形】
屋根の形状は大きく4パターンに分けられます。
これからそれぞれの屋根形状の特徴や、メリット、デメリットについてお話していこうと思います。
⓵切妻(きりづま):ふたつの斜面が棟で合わさる形状
【メリット】
雨漏りリスクが低いことが最大のメリットです。複雑な接合部や「谷」が無いため、雨仕舞がシンプルになるのでリスクが少ないのは間違いないところです。
また、構造がシンプルなため点検や補修がし易いと言えます。太陽光パネルの設置にも対応しやすいです。
【デメリット】
デザインの個性を出しにくいことが挙げられます。
一番よく見る形状なため、デザインにはひと工夫必要かと思います。そして外壁の面積が増えるなどが挙げられます。
⓶寄棟(よせむね):四方向へ勾配を持つ形状
【メリット】
風に強いという特徴があります。四方に風が分散されるため、台風などには特に強いとされています。また重厚で落ち着いた外観になります。
【デメリット】
切妻に比べて、やや雨漏りリスクが高くなります。
⓷片流れ(かたながれ):1方向のみに勾配がある形状
【メリット】
モダンでスタイリッシュな外観になりやすく、太陽光パネルを設置するのに有利です。
【デメリット】
屋根に振った雨水がすべて1方向に流れるので、大雨のときには注意が必要です。
あと、切妻と同じように外壁の面積が増えます。
④陸屋根(ろくやね):勾配がほとんどない平らな形状
【メリット】
箱形のシンプルなデザインで都会的でモダンな印象になります。あと屋根の高さを抑えたいときには有利になります。
【デメリット】
わずかな勾配しかないので、排水不良などが比較的起きやすくなります。
それと屋根裏空間が無いので、夏場は屋根から熱が伝わりやすく、十分な断熱対策が必要です。
ご覧のように屋根の形状で家の印象は大きく変わります。
デメリットの部分が心配になる人もいらっしゃいますが、施工する側は、そうしたデメリットをちゃんと補って建てるので、さほど心配はいりません。
そしてもうひとつ、最近の住宅では、ほとんど見なくなった屋根形状があります。
それは「入母屋(いりもや)」と呼ばれる屋根です。
現代でこそ、「入母屋」の屋根形状で家を建てられる方はほとんどいませんが、過去にはこれが一世風靡したのです。
代表的な「入母屋」の屋根を持つ建物がこれです。
あと、これもそうです。
上の写真は「姫路城」
下は「西本願寺」
どちらも「世界遺産」に登録されている有名な建物です。
「入母屋」とは、切妻と寄棟の複合したような形で、上部が切妻で、下部が寄棟になっている形状の屋根を言います。
室町時代(1336年~)の絵巻物などを見ると、貴族の住む御殿などは、ほとんどがこの
「入母屋」で建てられています。
安土桃山時代になって、お城に「天守閣」が造られるようになりました。
権力の象徴のような建物である天守閣は、当然のように屋根は「入母屋」になっています。
「岐阜城」は、戦後鉄筋コンクリートで建てられた「復興天守」ですが、ご覧のようにちゃんと「入母屋」で造られています。
現代ではほとんど見られなくなった「入母屋」
それはなぜでしょう。
「和風の家が少なくなったから」
それもあります。
「デザインが好ましくないから」
それもあるでしょう。
しかし、一番大きな理由は「コスト」だと思います。
切妻や寄棟、片流れに陸屋根。それらに比較して「入母屋」は構造が複雑で、ダントツに費用がかかります。
それに建築期間も長くなってしまいます。
私は小さいころからNHKの大河ドラマの影響で、日本のお城が大好きでした。
だから将来、自分が家を建てる時が来たら、「天守閣」とは言わないまでも、「入母屋」の家を建てるんだと本気で思っていたのです。
お城のプラモデルもずいぶん作りました。
だから小学生のころから「入母屋」という言葉の意味は、ちゃんと知っていたのです。
しかし、今のところ、私の「天守閣」は建つ兆しはありません。
私が幼いころ夢見た「入母屋」の家は、幻となって闇に葬られようとしています。
今、時々見かける「入母屋」の家は、こんな感じです。
ざっと住宅の「屋根」についてお話しました。
形状が変われば家の印象も大きく変わることが説明できたかなと思います。
次にまたまた大切なお話で、「屋根の素材」についてのご説明をしたいと思いますが、それは次回の⓶でゆっくりエピソードを交えてお話いたします。
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