忘れられない試合の話⓵


 2025年8月19日  この日私は甲子園のライトスタンドにいました。


この日の第3試合は「県立岐阜商業」「横浜高校」の試合が組まれていました。

圧倒的強さで春の選抜を制し、夏の甲子園でも優勝候補の最右翼「横浜高校」

かたや公立高校で唯一勝ち残った伝統校「県立岐阜商業」


私はこの試合をどうしても「生」で見たいと思いました。

第3試合はおそらく午後2時ごろの試合開始だろうとふんで、私は大阪行きの在来線切符を買いました。


岐阜から関西方面に行くとき、新幹線は駅が遠くて(岐阜羽島駅)案外不便なので、私はいつも在来線を使います。

快速電車に乗れたので、お昼前には大阪駅に着きました。

ここから阪神電車に乗り換えて「甲子園口」で降りれば目の前に甲子園球場があるのです。

もうわくわくが止まりません。


心配だったのはチケットを持っていないことでした。今の高校野球ではチケットはネットで買うようになっています。

しかし、当日のチケットはすでにSold Out

私はオークションサイトでチケットを探しました。ライトスタンドで席があったので迷わず購入しました。




伊田屋の創業の地「岐阜県」の高校は、近年あまり甲子園で勝てていませんでした。


しかし今年の岐阜県代表の「県立岐阜商業」は1回戦2回戦と勝ち上がり、3回戦も勝ってベスト8まで勝ち上がっていました。

地元の学校が甲子園で勝つことが、どれほど誇らしいことか。

私は「県立岐阜商業」の躍進が、もううれしくてうれしくて仕方ありませんでした。

身内が出ているわけでもない。OBでもない。しかしどうしても胸は高鳴るのです。




私はおにぎりと水を買って球場内に入りました。

まだ前の試合の途中でしたが、自分の席を広いライトスタンドの中から探し出し、そこに腰を下ろしました。


私の席のすぐ右横の席に、歳は30代半ばくらいに見える男性が座っていました。

とても体格のよい人で、私は「怖い人だったら嫌だな」なんて思いました。


グランドでは「日大三高」「関東一高」の試合が繰り広げられています。


すると右横の男性は、いいプレイがあったりすると小さい声で「よしっ」とか「おっ」とか言ってます。

どちらを応援しているのか知りたくて、注意深く彼の発する声を聴いていました。

もし、彼が応援している高校が解れば、同じように応援しようと思いました。違う方を応援してしまうと、彼が怒ってしまうのではないかと気を使ったのです。


私にしてみれば、この「日大三高」も「関東一高」も、どっちが勝とうが構わなかったので、早く彼の応援する高校が解ればいいと思っていました。


しかし彼は、両方の高校に対して「うまいっ」とか「よっしゃ」とか言ってます。





結局彼がどっちを応援していたのかわからないまま、試合は「日大三高」の勝利で終わりました。隣の男性は黙って席を立ちました。


さて、次はいよいよ「県立岐阜商業」「横浜高校」の試合が始まります。


グランドではシートノックが始まりました。

アルプス席では1塁側に「県立岐阜商業」の大応援団が徐々に席を埋めようとしています。

ブラスバンドの金管楽器が光ります。




ライトスタンドにも「岐商魂」と背中にプリントされたTシャツを着た人がたくさん入ってきました。若い方もいれば、年配の方もいました。

おそらくOBの方なんだろうと思いました。



私は買ってきたおにぎりをひとつ頬張りました。


そのおにぎりを食べ終わるころ、さっきの男性がまた私の隣に戻ってきたのです。


「彼はどっちを応援するのだろう」


そう思っているうちに、いよいよ私にとって「忘れられない試合」となる世紀の戦いが始まったのでした。

コメント

匿名 さんのコメント…
この試合は途中からテレビで見ていました。当日生で見られて羨ましいです。ほんと忘れられない試合だったですねー
コメントありがとうございました。

この試合を生で見たことを、私はこれから何年も自慢するつもりです。

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